開拓史 of 別府長期滞在施設「ホリデーハウス御園」古民家で田舎暮らし

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ホリデーハウス開拓史

「ホリデーハウス御園」は築100年の古民家を2007年4月から2009年3月の2年をかけて内成地域と立命館アジア太平洋大学畠田研究室とが一緒になって手作りで再生したものです。
空き家探しから始まり、空き家の掃除や片付け、塗装など高い技術を要しない部分を学生が受け持ち、1階・2階の床張りや壁塗り、水回りなどは地域の大工さんや左官屋さんが活躍するなど、この古民家を再生するのにたくさんの地域の人や学生達が労力をかけて築き上げました。その様子をご覧ください。

2007年1月~3月
コンセプト作り

1月の終わりに次年度何をやるかブレーンストーミングを行ったところ、別府で空き家探しをやり、それを長期滞在観光と結びつけるというアイディアが3年生の学生から提案されました。空き家探しそのものは移住者誘致の目玉として多くの地方で手がけられていたアイディアで、取り立てて面白いとは感じなかったのですが、これがきっかけで都市住民の田舎暮らしへの憧れ、すばらしい棚田のある内成、古民家再生、長期滞在宿泊施設、ホリデーハウス、地域起こし等関連するキーワードが浮かび上がり何か面白いものが出来そうだと閃いたことをまざまざと思い出します。全部のキーワードを包含するコンセプトに仕立てるのに結局二月ほどかかりましたが、このブレーンストーミングがホリデーハウス・プロジェクトの始まりだったのです。
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2007年4月~8月
空き家探し

内成は棚田の村で、約85戸の農家があります。4ヶ月ほど掛けて、その中から12軒の空き家を探し出し、雨漏り、構造部材の腐食、シロアリの被害等の有無や水回り設備や携帯の電波状況など約20項目について詳細を調査しました。
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2007年10月
再生する家を決定

詳細調査の総合評価と専門家の意見を取り入れ、12軒の空き家の中から現ホリデーハウス御園(旧神尊勝男邸)に決定しました。決め手は伝統的な古民家で、建物がしっかりしており、家からの眺めも良かった点でした。
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2007年10月
古民家再生がスタート

築100年の古民家再生がいよいよスタート。オーナーが近くの大神峰神社の神主さんだったので、最初にお祓いをしてもらいました。古民家に置いてあった荷物をオーナーと一緒に片付け、掃除をして工事の準備をしました。
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2007年11月~2008年4月
2階の天井を撤去、吹き抜けに

プロであれば普通1階から工事に取りかかるところですが、1階は水回り作業が絡み学生の手に余ったので、作業が簡単な2階から工事をスタートさせました。大工さんや左官屋さんの指導のもと天井を撤去し、吹き抜けにしました。屋根裏から出現した巨大な梁は壮観のひと言。さらに驚いたことに、大きな梁に棟梁が書いた工事完了日と関係者の名前が出てきました。曰く「大正六年十、十一月新築 神尊 来ノ代 大工首藤一平 木工平野起太郎」。

まずは梁磨き、一本一本100年のほこりを払い雑巾がけ、ピカピカに磨き上げました。続いて屋根裏に断熱材を貼り付け、見栄えをよくするためにその上からスダレを取り付ける作業など小さなことからコツコツ始めました。
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2008年4月~5月
地域の正式プロジェクトに昇格

改修費全部を畠田研究室でまかなうことは難しかったので、かねてから地域おこし補助金の利用について大分県に相談していました。県の反応は前向きでしたが、そのためには地域が補助金を申請し、事業費の半分を地域が負担し、ホリデーハウスの運営も地域が行う、いわゆる地域主体の事業であることが条件だとのことでした。4月末に地域おこしに理解のある工務店に頼んでいた水回りも含めた全体の改修費の見積もりが提示されたので、県の条件について地域の中で検討が始まり、約半月後の5月18日に県の条件を受け入れ地域の正式プロジェクトにすることが決まりました。


2008年5月
2階の壁を撤去、ワンルームに

2階をワンルームの寝室へと改装するため、地域の左官屋さんの指導のもと学生の手で壁壊しを行いました。初めは恐る恐るやっていたので、壁はびくともせず。たまりかねて左官屋さんが委細構わず乱暴に壁をたたき壊し始めたのです。それほど暴力的にやらないと壊れないものだということを学生が悟れば後は簡単、あっという間に壁の撤去は終わりました。前年11月の天井撤去に次ぐ強烈な体験でした。
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2008年6月
2階の床板張り

大工さんの指示を仰ぎながら、6月いっぱいかけて2階の床張りを完成させました。出来上がりからは想像も出来ない細かい作業の連続でした。まずは水とホースを使って床の水平度をチェックしました。全体的には東西の長手方向にほんのわずか菱形に潰れ、また南北の短手方向もほんのわずかに潰れているので、床は浅いすり鉢状になっていて、しかもそれが傾いている状態でした。大工さんは完全な水平床を作ることは無理だと判断し、根太の高さを部分的に調整することでおおよその水平が得られる作戦に転じました。完成状態では見た目には全く分かりませんが、パチンコ玉をそっと置くと傾きに従ってゆっくり転がりだすところがあります。
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2008年7月
ホリデーハウス運営委員会が発足する

古民家運営のための地域組織が立ち上がり、運営委員の6人が決まりました。これが現在の御園部会の前身です。
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2008年8月
2階が完成

2階の工事が始まってから約10ヶ月、床板を塗装して完成となりました。大工さんの指導を受けながら天井の造作、床張り、塗装など殆どの工事を学生の手でやり抜きました。このあとは夏休み、工事は10月までしばらく中断です。
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2008年10月
工事再開、大仕事はプロにお任せ

1階の再生は水回りを新設する大作業を伴うため、全面的に工務店に任せ、その管理のもとで壁壊しや塗装、片付けなどの力仕事、汚れ仕事を学生が担当しました。また大工さんや左官屋さんなどは出来るだけ地域の職人さんを使ってもらいました。荷物の整理やゴミの処理などの下準備は、秋の工事再開に備え夏休み前に学生が済ませておきました。
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本格的な工事に先立ち、10月の頭に地域の運営委員会メンバーを対象に工事説明会を開きました。
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2008年10月~11月
壁壊し

1階にはお風呂場、洗面所、台所いわゆる水回りの設備を新設し、さらには耐震性をアップするために補強壁も追加しました。快適性を考え1階も2階と同じく3センチ厚さの杉板を使った板張りワンルームに改造しました。このため学生が中心となって従来の壁をほとんど撤去しました。
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2008年11月
地域のお客様係が立ち上がる

チェックイン、チェックアウト、室内の清掃や備品の管理を担当するお客様係総勢10名が決まりました。作業支援のために学生達もマニュアル作りに励みました。


2008年11月~12月
屋根修理

若い時この家の屋根を手入れしたことがあるという地域の職人さんに頼みました。瓦を含め3層構造の典型的な昔風の屋根です。一番下は野地板ではなく竹のスノコが張られています。次に瓦止めの土を載せ、その上に瓦が葺いてあります。竹のスノコは100年の年月を経、軒下からみると痛んでいるところが多数、瓦も長年風雨にさらされてずり落ちているところ多数。職人の血が騒ぎ、瓦を全部おろしてきれいに復元したいという思いと限られた予算という現実。本当に職人さん泣かせの屋根修理でした。


2009年1月
地域の建物管理係が立ち上がる

庭や畑、樹木、建物などの手入れや管理を担当する建物管理係総勢16名が決まるやいなや垣根の剪定、通路の整備、畑の整備など第1回目の作業を行いました。結局、初めてのお客様が入居した4月8日までに合計6回の外構整備を地域の人と学生で実施しました。
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2009年3月
家具、電化製品購入・搬入

古民家再生完成に向けて、長期滞在に必要な家具、電化製品を購入・搬入しました。限られた予算の中で少しでも良い物をと毎日大型家電ショップのカタログを見比べ、お店に足を運び、中古品探しもしました。自分の物を買うより時間と労力を使いました。
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2009年3月
浄化槽新設

再生工事を進めていくなかで、今まで使っていた浄化槽が浄化槽として機能していないことが判明し、そこから少し離れたところに新たに浄化槽を設置することとなりました。工事は3月末ギリギリまでかかり、4月9日からの最初のお客様の入居に間に合うかとやきもきしました。

2009年3月
水周り(台所、トイレ、浴槽)完成

1階の水周りがプロの手によりいよいよ完成です。機器の設置は早かったが水道管を引いたりメーターを取り付けたり浄化槽を新設したりなどなど周辺システムの完成を待たねばならなかったため最後になってしまいました。
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2009年4月
簡易宿所免許取得

古民家は1週間単位で貸し出す「ホリデーハウス」として営業するため、簡易宿所の免許を取得しました。3月26日に申請し4月6日に無事許可がおりました。
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2009年4月9日
お客様第一号入居

2009年4月9日に古民家を利用する最初のお客様が入居しました。四国から来た3人家族で一月滞在しました。

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2009年4月18日
完成

再生工事が3月末までかかったため、お客様を迎え入れる前に開所式をすることができませんでした。お客様の入居が始まっていましたが、来賓の方々をお呼びし、入居中のお客様、地域の人たち、学生と一緒に開所式を行いました。

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